胸痛チェックリスト
胸痛がある方の症状、病歴、生活習慣などを項目ごとに重症度を点数化しております。合計点数で緊急度を評価していますので気になる方はチェックして参考にしてください。
胸痛チェックリスト
1. 痛みの特性
• 痛みの場所
o 中央、:2点
o 左胸、右胸、その他:1点
• 痛みの性質
o 締め付けられる感じ:4点
o 刺すような痛み:3点
o 焼けるよう 痛み、鈍、:2点
o その他:1点
• 痛みの強さ(0から10のスケールで評価)
o 1-3:1点
o 4-6:2点
o 7-10:3点
• 痛みの持続時間
o 数秒:0点
o 数分:2点
o 数時間:1点
2. 発症状況
• 痛みのきっかけ
o 運動中:3点
o 安静時:2点
o 食後、ストレス下、その他:1点
• 痛みを悪化させる要因
o 運動:3点
o 呼吸:2点
o 咳、姿勢の変更:1点
o その他:1点
• 痛みを緩和する要因
o 休息、薬物:2点
o 特定の姿勢、その他:1点
3. 伴う症状
• 呼吸困難
o はい:4点
o いいえ:0点
• 発汗
o はい:3点
o いいえ:0点
• 吐き気・嘔吐
o はい:2点
o いいえ:0点
• めまい・失神
o はい:4点
o いいえ:0点
• 心拍の異常
o はい:4点
o いいえ:0点
4. 既往歴
• 心血管疾患の既往歴
o はい:3点
o いいえ:0点
• 家族に心血管系病気既往がある
o はい:2点
o いいえ:0点
• その他の既往症
o 糖尿病、高血圧、高脂血症、肺疾患:2点
o その他:1点
5. 生活習慣
• 喫煙
o はい:3点
o いいえ:0点
• 飲酒
o はい:1点
o いいえ:0点
• 運動習慣
o 運動の頻度
o 毎日運動している:0点
o 週に3-5回:1点
o 週に1-2回:2点
o ほとんど運動しない:3点
• 運動の種類
o 有酸素運動(例:ジョギング、サイクリング、ウォーキング):0点
o 筋力トレーニング(例:ウェイトリフティング、ヨガ):1点
o 特に運動をしていない:2点
• 食生活
o 野菜や果物を毎日摂取している:0点
o バランスの取れた食事(炭水化物、タンパク質、脂質が適量):1点
o 高脂肪・高カロリーの食事が多い:2点
o 外食やファストフードが多い:3点
緊急度の判断(上記点数の合計点)
• 0-10点:様子観察
この範囲の点数は、特に緊急ではない可能性が高いですが、
症状が続く場合や悪化する場合は医師に相談してください。
• 11-20点:近いうちに専門医受診
症状が気になる場合や、点数がこの範囲に該当する場合は、
近いうちに専門医を受診してください。
• 21点以上:緊急に専門医受診
痛みが強い場合や、伴う症状が重い場合は、緊急に専門医を受診してください。
すぐに医療機関に連絡してください。
胸痛チェックリスト
1. 痛みの特性
• 痛みの場所
o 中央、:2点
o 左胸、右胸、その他:1点
• 痛みの性質
o 締め付けられる感じ:4点
o 刺すような痛み:3点
o 焼けるよう 痛み、鈍、:2点
o その他:1点
• 痛みの強さ(0から10のスケールで評価)
o 1-3:1点
o 4-6:2点
o 7-10:3点
• 痛みの持続時間
o 数秒:0点
o 数分:2点
o 数時間:1点
2. 発症状況
• 痛みのきっかけ
o 運動中:3点
o 安静時:2点
o 食後、ストレス下、その他:1点
• 痛みを悪化させる要因
o 運動:3点
o 呼吸:2点
o 咳、姿勢の変更:1点
o その他:1点
• 痛みを緩和する要因
o 休息、薬物:2点
o 特定の姿勢、その他:1点
3. 伴う症状
• 呼吸困難
o はい:4点
o いいえ:0点
• 発汗
o はい:3点
o いいえ:0点
• 吐き気・嘔吐
o はい:2点
o いいえ:0点
• めまい・失神
o はい:4点
o いいえ:0点
• 心拍の異常
o はい:4点
o いいえ:0点
4. 既往歴
• 心血管疾患の既往歴
o はい:3点
o いいえ:0点
• 家族に心血管系病気既往がある
o はい:2点
o いいえ:0点
• その他の既往症
o 糖尿病、高血圧、高脂血症、肺疾患:2点
o その他:1点
5. 生活習慣
• 喫煙
o はい:3点
o いいえ:0点
• 飲酒
o はい:1点
o いいえ:0点
• 運動習慣
o 運動の頻度
o 毎日運動している:0点
o 週に3-5回:1点
o 週に1-2回:2点
o ほとんど運動しない:3点
• 運動の種類
o 有酸素運動(例:ジョギング、サイクリング、ウォーキング):0点
o 筋力トレーニング(例:ウェイトリフティング、ヨガ):1点
o 特に運動をしていない:2点
• 食生活
o 野菜や果物を毎日摂取している:0点
o バランスの取れた食事(炭水化物、タンパク質、脂質が適量):1点
o 高脂肪・高カロリーの食事が多い:2点
o 外食やファストフードが多い:3点
緊急度の判断(上記点数の合計点)
• 0-10点:様子観察
この範囲の点数は、特に緊急ではない可能性が高いですが、
症状が続く場合や悪化する場合は医師に相談してください。
• 11-20点:近いうちに専門医受診
症状が気になる場合や、点数がこの範囲に該当する場合は、
近いうちに専門医を受診してください。
• 21点以上:緊急に専門医受診
痛みが強い場合や、伴う症状が重い場合は、緊急に専門医を受診してください。
すぐに医療機関に連絡してください。
「LDLコレステロールが高い」と言われた時どうする?
健康診断で、「コレステロール(あるいは中性脂肪)が高いから動脈硬化に気を付けてください。」と指摘を受けた方も多いと思います。今回は、コレステロールと中性脂肪に関して考えてみます。
コレステロールは、生体でいろんな物質の材料となります。代表的なものとして、①細胞膜、②コルチゾール、③性ホルモン、④胆汁酸、⑤ビタミンD、⑥コエンザイムQ10などがあります。これらは、脳、免疫、生殖、消化吸収、エネルギー産生などに必要で、コレステロールがないと生命活動が維持できません。
一方、中性脂肪は細胞のエネルギー源として使われ、余ったエネルギー(糖質やタンパク質も含む)は中性脂肪として脂肪細胞に貯蔵されます。
コレステロールや中性脂肪は脂質であり直接は水に溶けないため、血液中では、リン脂質とアポたんぱくでできたトラックに荷物として載って各細胞、組織に運ばれ使われます。この荷物を載せたトラックをリポたんぱくと言います。
リポたんぱくには、載せた中性脂肪とコレステロールの量と割合により種類があり、比重の軽いものからカイロミクロン、VLDL、LDL、HDLなどがあります。
カイロミクロンは、主に食事から得た脂質(中性脂肪やコレステロール)を各組織に運搬します。VLDLは肝臓で合成され主に中性脂肪を、VLDLが代謝されてできたLDLは主にコレステロールを全身の細胞に運搬します。そしてHDLが、余ったコレステロールを回収し肝臓に戻す役割を果たします。すなわち、リポたんぱくは、脂質を腸管から吸収し、肝臓で合成あるいは再利用して、全身の細胞に過不足なく運搬する脂質代謝の要として働きます。
さて、健康診断で測定されるLDLコレステロールですが、全身の細胞に運ばれるコレステロールの重要な指標になりますが、高すぎると動脈硬化が進行し、脳心血管系疾患の発症率が上がることが疫学的に知られています。いわゆる悪玉コレステロールと言われる所以です。他方、HDLコレステロールは、余分なコレステロールを回収する指標となり、動脈硬化を予防する善玉コレステロールと言われます。
ここで知っておかなければならないのは、LDLコレステロールが低いのも問題であるということです。すなわち低栄養状態(ガン末期や心不全末期に多い)では、コレステロールが作れずLDLコレステロールも低値になります。したがって、LDLコレステロール値と死亡率の関係をグラフにすると、高すぎても低すぎても死亡率が上がるというJカーブ現象が見られます。
ではLDLコレステロールが高いと言われたらどうしたらよいのでしょうか?
まず、自分の状況を把握することが重要です(症状がないから放置ではダメです)。高血圧、糖尿病、喫煙、家族歴(身内に心血管系疾患罹患者がいる)などの動脈硬化危険因子があれば治療の必要性が高くなります。頸動脈エコーや脈波検査(俗にいう血管年齢)で現在の動脈硬化の程度を知りましょう。
特に問題なければ、食事・運動療法で経過観察します。かつては、コレステロールを多く含む食品(卵など)を避けることが推奨されましたが、食事中のコレステロール量と血中コレステロール値の相関が低いためあまり言われなくなりました(ただし、コレステロールの吸収率には個人差20~80%あり、摂り過ぎは禁物です)。さらに、LDLが酸化され血管に沈着し、免疫細胞に貪食され慢性炎症を起こすことが動脈硬化進展の機序であるため、抗酸化物質(ビタミンCやE、ポリフェノールなど)を積極的に摂り、酸化LDLを作らないことが重要です。中性脂肪が高いとsmall dense LDLと呼ばれる酸化LDLになりやすい物質がつくられるので、これにも注意が必要です。
また、中性脂肪の構成要素である脂肪酸の種類によっても、動脈硬化を防ぐことが可能です。ω3脂肪酸を多く含む魚油を摂り、ω6脂肪酸を含む植物油や肉に含まれる飽和脂肪酸を減らすことで抗炎症効果が期待されます。適度な運動も、LDLコレステロールを下げ、HDLコレステロールを上げます。
動脈硬化危険因子が多い、あるいはすでに脳心血管系疾患になったことがある人は、薬物治療も考慮します。個々の状況によりLDLコレステロールの目標値は違います。一部では、下げれば下げるだけ動脈硬化は抑制され問題はないと言われますが、コレステロールにも大事な働きがあり、私は下げ過ぎには反対です。
LDLコレステロール降下薬(スタチンと呼ばれます)は、抗動脈硬化作用、心血管系疾患抑制が証明されており生命予後を改善するとしてよく使われます。ただし、まれに筋肉融解や筋肉痛、風邪をひきやすい、体がだるい、消化吸収不良などの副作用もあり注意が必要です。これは、コレステロールが下がり、体に必要な物質が不足しておこる症状です。この場合は、ビタミンDやコエンザイムQ10、消化酵素などのサプリを用い積極的に補充する必要もあると考えます。
週刊誌で「飲んではいけない薬」の常連に挙げられるスタチンは、ただ単に「LDLコレステロールが高い」と言われただけでは、確かに不要な薬だと思いますが、必要な方が飲まないのも問題です。専門医に相談し、副作用対策も含めて上手に治療に取り入れていただきたいと思います。
参考文献: 『動脈硬化診療のすべて』日本医師会雑誌 第148巻・特別号(2)
西崎統『中性脂肪』PHP研究所
コレステロールは、生体でいろんな物質の材料となります。代表的なものとして、①細胞膜、②コルチゾール、③性ホルモン、④胆汁酸、⑤ビタミンD、⑥コエンザイムQ10などがあります。これらは、脳、免疫、生殖、消化吸収、エネルギー産生などに必要で、コレステロールがないと生命活動が維持できません。
一方、中性脂肪は細胞のエネルギー源として使われ、余ったエネルギー(糖質やタンパク質も含む)は中性脂肪として脂肪細胞に貯蔵されます。
コレステロールや中性脂肪は脂質であり直接は水に溶けないため、血液中では、リン脂質とアポたんぱくでできたトラックに荷物として載って各細胞、組織に運ばれ使われます。この荷物を載せたトラックをリポたんぱくと言います。
リポたんぱくには、載せた中性脂肪とコレステロールの量と割合により種類があり、比重の軽いものからカイロミクロン、VLDL、LDL、HDLなどがあります。
カイロミクロンは、主に食事から得た脂質(中性脂肪やコレステロール)を各組織に運搬します。VLDLは肝臓で合成され主に中性脂肪を、VLDLが代謝されてできたLDLは主にコレステロールを全身の細胞に運搬します。そしてHDLが、余ったコレステロールを回収し肝臓に戻す役割を果たします。すなわち、リポたんぱくは、脂質を腸管から吸収し、肝臓で合成あるいは再利用して、全身の細胞に過不足なく運搬する脂質代謝の要として働きます。
さて、健康診断で測定されるLDLコレステロールですが、全身の細胞に運ばれるコレステロールの重要な指標になりますが、高すぎると動脈硬化が進行し、脳心血管系疾患の発症率が上がることが疫学的に知られています。いわゆる悪玉コレステロールと言われる所以です。他方、HDLコレステロールは、余分なコレステロールを回収する指標となり、動脈硬化を予防する善玉コレステロールと言われます。
ここで知っておかなければならないのは、LDLコレステロールが低いのも問題であるということです。すなわち低栄養状態(ガン末期や心不全末期に多い)では、コレステロールが作れずLDLコレステロールも低値になります。したがって、LDLコレステロール値と死亡率の関係をグラフにすると、高すぎても低すぎても死亡率が上がるというJカーブ現象が見られます。
ではLDLコレステロールが高いと言われたらどうしたらよいのでしょうか?
まず、自分の状況を把握することが重要です(症状がないから放置ではダメです)。高血圧、糖尿病、喫煙、家族歴(身内に心血管系疾患罹患者がいる)などの動脈硬化危険因子があれば治療の必要性が高くなります。頸動脈エコーや脈波検査(俗にいう血管年齢)で現在の動脈硬化の程度を知りましょう。
特に問題なければ、食事・運動療法で経過観察します。かつては、コレステロールを多く含む食品(卵など)を避けることが推奨されましたが、食事中のコレステロール量と血中コレステロール値の相関が低いためあまり言われなくなりました(ただし、コレステロールの吸収率には個人差20~80%あり、摂り過ぎは禁物です)。さらに、LDLが酸化され血管に沈着し、免疫細胞に貪食され慢性炎症を起こすことが動脈硬化進展の機序であるため、抗酸化物質(ビタミンCやE、ポリフェノールなど)を積極的に摂り、酸化LDLを作らないことが重要です。中性脂肪が高いとsmall dense LDLと呼ばれる酸化LDLになりやすい物質がつくられるので、これにも注意が必要です。
また、中性脂肪の構成要素である脂肪酸の種類によっても、動脈硬化を防ぐことが可能です。ω3脂肪酸を多く含む魚油を摂り、ω6脂肪酸を含む植物油や肉に含まれる飽和脂肪酸を減らすことで抗炎症効果が期待されます。適度な運動も、LDLコレステロールを下げ、HDLコレステロールを上げます。
動脈硬化危険因子が多い、あるいはすでに脳心血管系疾患になったことがある人は、薬物治療も考慮します。個々の状況によりLDLコレステロールの目標値は違います。一部では、下げれば下げるだけ動脈硬化は抑制され問題はないと言われますが、コレステロールにも大事な働きがあり、私は下げ過ぎには反対です。
LDLコレステロール降下薬(スタチンと呼ばれます)は、抗動脈硬化作用、心血管系疾患抑制が証明されており生命予後を改善するとしてよく使われます。ただし、まれに筋肉融解や筋肉痛、風邪をひきやすい、体がだるい、消化吸収不良などの副作用もあり注意が必要です。これは、コレステロールが下がり、体に必要な物質が不足しておこる症状です。この場合は、ビタミンDやコエンザイムQ10、消化酵素などのサプリを用い積極的に補充する必要もあると考えます。
週刊誌で「飲んではいけない薬」の常連に挙げられるスタチンは、ただ単に「LDLコレステロールが高い」と言われただけでは、確かに不要な薬だと思いますが、必要な方が飲まないのも問題です。専門医に相談し、副作用対策も含めて上手に治療に取り入れていただきたいと思います。
参考文献: 『動脈硬化診療のすべて』日本医師会雑誌 第148巻・特別号(2)
西崎統『中性脂肪』PHP研究所
サプリを上手に使うコツ!
皆様の中にも、体によいと考えて、サプリや健康食品を利用されている方も多いと思います。私もその一人ですが、数あるサプリのなかで何をどれだけの量を摂るかは悩ましいところです。今回はその疑問について考えていきましょう。
そもそもサプリが本当に必要なのか?という疑問です。
ヒトは、体に必要な栄養素すべては体内で作ることはできない従属栄養生物です。皆様もビタミン(体内でつくれないが生きていくのに必要な化合物)、必須アミノ酸、必須脂肪酸、必須ミネラルなど聞いたことがあると思います。多くの生物は多様な働きをするビタミンCは自分で作れますが、私たち人類はそれすらも自分では作れません。
したがって、生きていくためにはこれらの栄養素は外から摂取しなければなりません。しかし、様々な要因(生活環境、遺伝的、社会的など)により十分な量が摂れないことが起こります。例えば、大航海時代に船員が壊血病になり亡くなっていたのが、ビタミンCが含まれる野菜・果物を摂取するようにしたら亡くなる人がいなくなったとか、日清・日露戦争で白米ばかり食べていた陸軍兵士が脚気になり亡くなっていたのが、麦飯に含まれるビタミンB1を摂った海軍兵士には脚気がほとんどいなかったなどです。さらに、飽食の時代と言われる現代でも、カロリーは摂れていてもタンパク質やミネラル、ビタミン不足の人が多く、新型栄養失調として注目されています。
国は、栄養素の一日摂取目標量を定めていますが、これは病気にならない最低量です。その必要量は、その人の状況(体質、育ち盛り、妊娠授乳中、感染症罹患、ストレスなど)により変化し個体差が大きいです。また、ビタミンCは、美肌を目指す、風邪を治す、がんを治すなど効かせたい目的、臓器によっても必要量が違います。したがって、多量を栄養素が必要な場合、すべてを食事から摂取するのは現実的でなく上手にサプリを利用するという選択肢は有効だと思います。
では自分に必要なサプリはどう選んだらよいのでしょうか?
これも目的により大きく分かれると思います。現在不調があって病院で検査を受けても大きな異常が見つからない場合と特に不調はなく元気だけど健康維持や長寿を目指す場合とでは、当然アプローチの仕方が違います。
ここで注意が必要なのは、病院では検査値が基準内にあると病気と診断されないことです。そして基準値は必ずしも正常値(健常値)ではないのです。例えば、ヘモグロビン値や血清鉄が基準内にあっても鉄欠乏があり、それが不調の原因になることがあります。あるいは、腸の調子が悪くても大腸検査で肉眼的異常がなければ問題なしと診断されます。最近は、腸内細菌の重要性が認識され便の遺伝子検査も自費検査で可能ですが、消化吸収能力は正確に評価することができないのが現状です。
これら、原因がはっきりしない不調に対して効果を発揮する可能性があるのがサプリです。各種ビタミン、ミネラル、タンパク質(アミノ酸)など、今までの研究で効果が証明されているサプリがこれにあたります。
分子(整合)栄養療法は、細胞レベルでの代謝過程に注目して、どの栄養素が足りないかを検討し、それを適切に補う治療法です。この時に、なぜこの栄養素が足りなくなっているのかの根本原因を探ることも重要であり、そこを改善することにより、いずれサプリを必要としない体になることを目標とします。「疲れやすい」、「動悸がする」、「お腹がはる」、「やる気がでない」、「アレルギー体質である」などの症状があるにもかかわらず、病院の検査で異常なしと言われた人は、適切な栄養療法を受けることにより劇的に改善することがあります。
健康維持あるいは美容、アンチエイジングを目標とする健康食品やサプリも存在します。青汁、ゴマを使ったセサミン、シジミに含まれるオルニチンなど食物から作られたものや、最新の細胞内代謝の研究で見つかった、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)や5-ALA(5-アミノレブリン酸)などアンチエイジングを期待したサプリなど多数あります。
ただし、これらは必須という訳ではなく、高価なものも多く、効果のエビデンスも十分ではありませんので、あくまでも自分の責任で懐と相談しながら摂取するというものになります。
サプリの購入や摂取する際に気を付けるポイントは何でしょうか。
原料が粗悪なもの、不純物が多いもの、肝心の成分量が少なく添加物が多いもの、消化吸収効率の悪いものなど一見したところわからないものがネット上で多数売られています。最低でもGMP(適正製造規範)認証工場で作られた製品を選ぶべきだと思います。またサプリ先進国の欧米メーカー製であっても、分量が日本人には多すぎる場合もあります。
腸内環境が悪い、炎症がある、有害物質がたまっているなどでは、折角のサプリも効果が出ません。腸内環境をよくするために避けるべき食材(グルテン、カゼイン、カフェイン、アルコール、砂糖など)にも留意しましょう。
私事ですが、臨床分子栄養医学研究会の認定医を取得しました。皆様が上手にサプリを利用して健康に過ごしていただけるお手伝いできればと考えています。
参考文献: 田村忠司『サプリメントの正体』三笠書房
宮澤賢史『あなたのサプリが効かない理由』イースト・プレス
そもそもサプリが本当に必要なのか?という疑問です。
ヒトは、体に必要な栄養素すべては体内で作ることはできない従属栄養生物です。皆様もビタミン(体内でつくれないが生きていくのに必要な化合物)、必須アミノ酸、必須脂肪酸、必須ミネラルなど聞いたことがあると思います。多くの生物は多様な働きをするビタミンCは自分で作れますが、私たち人類はそれすらも自分では作れません。
したがって、生きていくためにはこれらの栄養素は外から摂取しなければなりません。しかし、様々な要因(生活環境、遺伝的、社会的など)により十分な量が摂れないことが起こります。例えば、大航海時代に船員が壊血病になり亡くなっていたのが、ビタミンCが含まれる野菜・果物を摂取するようにしたら亡くなる人がいなくなったとか、日清・日露戦争で白米ばかり食べていた陸軍兵士が脚気になり亡くなっていたのが、麦飯に含まれるビタミンB1を摂った海軍兵士には脚気がほとんどいなかったなどです。さらに、飽食の時代と言われる現代でも、カロリーは摂れていてもタンパク質やミネラル、ビタミン不足の人が多く、新型栄養失調として注目されています。
国は、栄養素の一日摂取目標量を定めていますが、これは病気にならない最低量です。その必要量は、その人の状況(体質、育ち盛り、妊娠授乳中、感染症罹患、ストレスなど)により変化し個体差が大きいです。また、ビタミンCは、美肌を目指す、風邪を治す、がんを治すなど効かせたい目的、臓器によっても必要量が違います。したがって、多量を栄養素が必要な場合、すべてを食事から摂取するのは現実的でなく上手にサプリを利用するという選択肢は有効だと思います。
では自分に必要なサプリはどう選んだらよいのでしょうか?
これも目的により大きく分かれると思います。現在不調があって病院で検査を受けても大きな異常が見つからない場合と特に不調はなく元気だけど健康維持や長寿を目指す場合とでは、当然アプローチの仕方が違います。
ここで注意が必要なのは、病院では検査値が基準内にあると病気と診断されないことです。そして基準値は必ずしも正常値(健常値)ではないのです。例えば、ヘモグロビン値や血清鉄が基準内にあっても鉄欠乏があり、それが不調の原因になることがあります。あるいは、腸の調子が悪くても大腸検査で肉眼的異常がなければ問題なしと診断されます。最近は、腸内細菌の重要性が認識され便の遺伝子検査も自費検査で可能ですが、消化吸収能力は正確に評価することができないのが現状です。
これら、原因がはっきりしない不調に対して効果を発揮する可能性があるのがサプリです。各種ビタミン、ミネラル、タンパク質(アミノ酸)など、今までの研究で効果が証明されているサプリがこれにあたります。
分子(整合)栄養療法は、細胞レベルでの代謝過程に注目して、どの栄養素が足りないかを検討し、それを適切に補う治療法です。この時に、なぜこの栄養素が足りなくなっているのかの根本原因を探ることも重要であり、そこを改善することにより、いずれサプリを必要としない体になることを目標とします。「疲れやすい」、「動悸がする」、「お腹がはる」、「やる気がでない」、「アレルギー体質である」などの症状があるにもかかわらず、病院の検査で異常なしと言われた人は、適切な栄養療法を受けることにより劇的に改善することがあります。
健康維持あるいは美容、アンチエイジングを目標とする健康食品やサプリも存在します。青汁、ゴマを使ったセサミン、シジミに含まれるオルニチンなど食物から作られたものや、最新の細胞内代謝の研究で見つかった、NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)や5-ALA(5-アミノレブリン酸)などアンチエイジングを期待したサプリなど多数あります。
ただし、これらは必須という訳ではなく、高価なものも多く、効果のエビデンスも十分ではありませんので、あくまでも自分の責任で懐と相談しながら摂取するというものになります。
サプリの購入や摂取する際に気を付けるポイントは何でしょうか。
原料が粗悪なもの、不純物が多いもの、肝心の成分量が少なく添加物が多いもの、消化吸収効率の悪いものなど一見したところわからないものがネット上で多数売られています。最低でもGMP(適正製造規範)認証工場で作られた製品を選ぶべきだと思います。またサプリ先進国の欧米メーカー製であっても、分量が日本人には多すぎる場合もあります。
腸内環境が悪い、炎症がある、有害物質がたまっているなどでは、折角のサプリも効果が出ません。腸内環境をよくするために避けるべき食材(グルテン、カゼイン、カフェイン、アルコール、砂糖など)にも留意しましょう。
私事ですが、臨床分子栄養医学研究会の認定医を取得しました。皆様が上手にサプリを利用して健康に過ごしていただけるお手伝いできればと考えています。
参考文献: 田村忠司『サプリメントの正体』三笠書房
宮澤賢史『あなたのサプリが効かない理由』イースト・プレス
『健康』とは?
誰しも病気にはなりたくなくて健康で過ごしたいと思っています。ただ歳を重ねると視力が低下する、腰が痛いなど体のあちこちが若い頃とは違って衰えているのも自覚します。個々あるいは年齢によっても『健康』の状態は変化しています。今回は、『健康』について考えてみます。
ひと昔前は、『健康』といえば、快食、快眠、快便という答えもよく聞いた気がします。しかし現在、世界保健機構(WHO)では、「健康とは、病気ではないとか、弱っていないとかではなく、肉体的にも、精神的にも、社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義されています。すなわち、体も心も社会関係も満たされていると実感できる状態で、体だけあるいは客観的な指標があるのではなく、生きていくうえで必要な要素すべて含んだ主観的なものです。
三石巌氏は、著書の中で、「健康レベル」という表現を使っています。毎日、健康で過ごしていると感じていても、昨晩よく寝れなかったとか、今日は上司に怒られてへこんだとか、日によって微妙に体調は変化します。これを「健康レベル」として評価し、健康管理とはこの「健康レベル」を維持ないしさらに上げていく努力ととらえます。そのための手段として、大量のビタミン・ミネラルなどを補給し、代謝やタンパク質合成を活発化させ究極の健康レベルを目指す治療法を公開しています。
さて、『健康』を考える上で大切なのは、「からだ」と「こころ」と「あたま」の関係です。
「からだ」と「こころ」は、心身一如といわれるほど密接に繋がっています。「今日は疲れたから明日はゆっくり休もう」というのは「からだ」と「こころ」の欲求です。ここに「あたま」がはいると、「明日は大事な仕事があるから休めない」ということになります。すなわち「あたま」が作り出した「偽の心」により行動が変化します。この「あたま」の働きは、欲望であり、これによりヒトは他の動物と違い進化発展してきたのですが、健康を害することにもなっているのです。
「あたま」の働きは、効率化を図るために進化してきており、何かが起きたら、論理的に考えて善か悪かの二元論で判断します。一方、「からだ」や「こころ」は、瞬間的で同時多発的で、なかなか説明ができないこともあります。例えば、飛び出してきた車からとっさに逃げるとか、一目で恋に落ちるとかです。
ここで現代社会に生きる私たちは、「からだ」や「こころ」の働きよりも「あたま」の働きの方が高度だと勘違いしてしまう傾向があるということです。普段から「あたま」を使うことが得意な人、因果論で考えて合理化することにたけている人ほど「からだ」や「こころ」の声に耳を傾けることが不得意である可能性が高いのです。
では、どうしたら「からだ」や「こころ」のシグナルを感じ取ることができるようになるのでしょう。
・数値だけで評価しない。
・体調が悪くなったら、休む、環境を変えるなどして自然治癒力を高める。
・生まれ持った素養や素質を大切にする。
・快・不快の感覚を大事にする。
・深くゆっくり呼吸をする。
・自然のリズムと自分の生活のリズムを一致させる。
・偽装された感情(~しなければならない)に気をつける。本当の感情(~したい)を大事にする。
・どんな感情であれ、その由来をゆっくり考えてみる。
・まずは体をうごかしてみる。
そして、『健康』のためにできることはなんでしょうか。
人は、日々刻々と変化し続けています。無常であることを知り、「あたま」の呪縛から自由になり、「からだ」と「こころ」の声を聞いていくことが健康に過ごすコツといえます。
「からだ」や「こころ」が発する違和感を表現することが大切です。ポイントは、その違和感の場所を具体的に言葉にし、オノマトペで表現することです。例えば、「おへその付近がズキズキ痛む」などです。そしてその部位に触れて状態を知覚することです。
健康に過ごすための生活習慣は、医者が決めるのではなく、医者のアドバイスを聞いて、自分で決めることが大切です。自分のことを深く「知りたい」ということからすべては始まります。
身体感覚を取り戻すには、誰からも批判されない安全な場を確保することも大切です。また、「死」について考えることも「生」を充実させる方策です。
現代医療の進歩はすさまじく、不治の病も克服されつつあります。しかし、病気になってからではなく、病気にならず健康に過ごす生き方をしていくことが、これからの人類に求められることだと思います。
参考文献: 稲葉俊郎『からだとこころの健康学』NHK出版
三石巌『分子栄養学のすすめ 健康自主管理の基礎知識』阿部出版
ひと昔前は、『健康』といえば、快食、快眠、快便という答えもよく聞いた気がします。しかし現在、世界保健機構(WHO)では、「健康とは、病気ではないとか、弱っていないとかではなく、肉体的にも、精神的にも、社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」と定義されています。すなわち、体も心も社会関係も満たされていると実感できる状態で、体だけあるいは客観的な指標があるのではなく、生きていくうえで必要な要素すべて含んだ主観的なものです。
三石巌氏は、著書の中で、「健康レベル」という表現を使っています。毎日、健康で過ごしていると感じていても、昨晩よく寝れなかったとか、今日は上司に怒られてへこんだとか、日によって微妙に体調は変化します。これを「健康レベル」として評価し、健康管理とはこの「健康レベル」を維持ないしさらに上げていく努力ととらえます。そのための手段として、大量のビタミン・ミネラルなどを補給し、代謝やタンパク質合成を活発化させ究極の健康レベルを目指す治療法を公開しています。
さて、『健康』を考える上で大切なのは、「からだ」と「こころ」と「あたま」の関係です。
「からだ」と「こころ」は、心身一如といわれるほど密接に繋がっています。「今日は疲れたから明日はゆっくり休もう」というのは「からだ」と「こころ」の欲求です。ここに「あたま」がはいると、「明日は大事な仕事があるから休めない」ということになります。すなわち「あたま」が作り出した「偽の心」により行動が変化します。この「あたま」の働きは、欲望であり、これによりヒトは他の動物と違い進化発展してきたのですが、健康を害することにもなっているのです。
「あたま」の働きは、効率化を図るために進化してきており、何かが起きたら、論理的に考えて善か悪かの二元論で判断します。一方、「からだ」や「こころ」は、瞬間的で同時多発的で、なかなか説明ができないこともあります。例えば、飛び出してきた車からとっさに逃げるとか、一目で恋に落ちるとかです。
ここで現代社会に生きる私たちは、「からだ」や「こころ」の働きよりも「あたま」の働きの方が高度だと勘違いしてしまう傾向があるということです。普段から「あたま」を使うことが得意な人、因果論で考えて合理化することにたけている人ほど「からだ」や「こころ」の声に耳を傾けることが不得意である可能性が高いのです。
では、どうしたら「からだ」や「こころ」のシグナルを感じ取ることができるようになるのでしょう。
・数値だけで評価しない。
・体調が悪くなったら、休む、環境を変えるなどして自然治癒力を高める。
・生まれ持った素養や素質を大切にする。
・快・不快の感覚を大事にする。
・深くゆっくり呼吸をする。
・自然のリズムと自分の生活のリズムを一致させる。
・偽装された感情(~しなければならない)に気をつける。本当の感情(~したい)を大事にする。
・どんな感情であれ、その由来をゆっくり考えてみる。
・まずは体をうごかしてみる。
そして、『健康』のためにできることはなんでしょうか。
人は、日々刻々と変化し続けています。無常であることを知り、「あたま」の呪縛から自由になり、「からだ」と「こころ」の声を聞いていくことが健康に過ごすコツといえます。
「からだ」や「こころ」が発する違和感を表現することが大切です。ポイントは、その違和感の場所を具体的に言葉にし、オノマトペで表現することです。例えば、「おへその付近がズキズキ痛む」などです。そしてその部位に触れて状態を知覚することです。
健康に過ごすための生活習慣は、医者が決めるのではなく、医者のアドバイスを聞いて、自分で決めることが大切です。自分のことを深く「知りたい」ということからすべては始まります。
身体感覚を取り戻すには、誰からも批判されない安全な場を確保することも大切です。また、「死」について考えることも「生」を充実させる方策です。
現代医療の進歩はすさまじく、不治の病も克服されつつあります。しかし、病気になってからではなく、病気にならず健康に過ごす生き方をしていくことが、これからの人類に求められることだと思います。
参考文献: 稲葉俊郎『からだとこころの健康学』NHK出版
三石巌『分子栄養学のすすめ 健康自主管理の基礎知識』阿部出版
オートファジーと 健康長寿の関係
2016年、大隅良典博士がノーベル生理学・医学賞を受賞したことで一躍有名になった「オートファジー」。今回はこれが健康長寿にも影響することについてのお話です。
オートファジー(ギリシャ語で「オート」は「自分自身」、「ファジー」は「食べること」という意味)とは、生物が生命維持に必要なアミノ酸の精製などのために、古くなったり壊れたりした細胞内タンパク質を分解して再利用する機能で、「細胞内リサイクルシステム」とも呼ばれます。つまり、古くなった細胞を内側から新しく生まれ変わらせる仕組みです。
生物は、栄養摂取(同化)と飢餓(異化)を交互に経験しながら進化してきました。すなわち、栄養摂取ができる時期には、「成長モード」に入り、飢餓状態の時には、「リサイクルモード」になり生命活動を維持しています。
この切り替えをするのが、血液細胞を除くほぼすべての細胞内にあるmTOR(mechanistic target of rapamycin たんぱく質複合体)と呼ばれるスイッチです。mTORが活性化すると「細胞成長モード」に入り、タンパク質の生成、エネルギーの蓄積、細胞の形成が促進されます。一方、mTORが抑制されると「自己浄化モード」であるオートファジーが作動し、脂肪を燃焼させるだけでなく、細胞内に生じた有毒物質やがん細胞を除去し、使えるアミノ酸を再利用します。
そして実際、mTORを抑制してオートファジーを発現させた生物の寿命が伸びることが様々な動物実験で証明されています。
400万年前から1万2千年前に農耕革命が始まるまでの長い間、人類の祖先は、サバンナで狩猟生活をしていました。この間、糖質の少ない植物の種、草、茎と種や動物の骨髄に含まれる脂質を主食とし、季節により、果物、穀物、はちみつなどの糖質を少量食べていました。また肉は捕れた時のみ食べていたと考えられています。このことは、我々の祖先も他の生物と同様、同化と異化を繰り返して進化したことを示します。
しかし、農耕革命後は、大量の糖質(穀物)とタンパク質(肉と乳製品)を摂取するようになりました。さらに近年は精製された砂糖と小麦・米を大量に摂取できるようになり、飢餓がなくなり、細胞が絶えず成長モードにおかれるようになっています。この変化に我々の体は対応できず、糖尿病、がん、心血管系疾患、認知症といった文明病に罹患し寿命を縮める原因になっています。
では、我々の食生活はどこに気をつけたらよいのでしょうか。
高GI食(米、パンなどの糖質)を減らすと、血糖値が低下し、AGE(最終糖化産物)と呼ばれる異常なタンパク質が減り、mTORの抑制につながります。この時、脂肪が分解されケトン体がつくられ、脳機能も改善されます。
動物性たんぱく質や乳製品を減らすと、IGF-1値(インスリン様物質)が低下し、mTORが抑制されてオートファジーが起こりやすくなります。
さらに炎症誘発性食物を避け、抗炎症作物を食べる(例えばサラダ油のようなω6脂肪酸ではなく青魚の油に含まれるω3脂肪酸をとる)ことも有効です。
オートファジーを最も効率よく発現させるポイントは、1年のうち8か月は異化(飢餓)、4か月を同化(栄養摂取)の期間になるようにすることだそうです。しかし、現代社会で実行するには覚悟がいりますし、いつもギリギリの状態で過ごすことが本当によいことなのか現代人で検証はできていませんし個人により意見が分かれるところだと思います。
一日のうち連続16時間の絶食(残りの8時間の間に食事を摂る)というダイエットもオートファジーを活性化させる食事法の一つです。これだと朝食を抜いて昼食と夕食を食べることで実行できるので比較的取り組みやすいかもしれません。
低カロリー、低蛋白、頻回の断食(空腹時間を作る)がオートファジーの発現には有効であることを知り、精製した糖質を避ける、野菜をたくさん食べる、穀物や動物性たんぱく質を減らし、体に良い脂質を摂ることを心掛ければよいと思います。そして自然の摂理に従い、季節に応じた食生活を送ることが重要です。
現代医学の発展により、「人生100歳時代」が現実になってきました。ただ、生物学的寿命と自分のことは自分でできる健康寿命との間に10歳程度の開きがあることが問題になっています。
最近研究によると、健康長寿に生活習慣が関与する割合は90%以上と言われます。すなわち、寿命は遺伝子によって決まっているのではなく、生活習慣により健康や病気に関する遺伝子発現をオンにしたりオフにしたりすることで細胞の性質を変えることができることを意味します(エピジェネティクスと呼ばれます)。これは110歳以上生きるスーパーセンテナリアン遺伝子を持っていない大多数の人が、生活習慣に気を付けることにより元気で100歳を迎えることができることを意味します。
この「エピジェネティクス」と「オートファジー」の力を上手に引き出すことが、健康長寿の近道です。
参考文献:ジェームズ・W・クレメント『SWITCH』日経BP
青木厚『空腹こそ最強のクスリ』
オートファジー(ギリシャ語で「オート」は「自分自身」、「ファジー」は「食べること」という意味)とは、生物が生命維持に必要なアミノ酸の精製などのために、古くなったり壊れたりした細胞内タンパク質を分解して再利用する機能で、「細胞内リサイクルシステム」とも呼ばれます。つまり、古くなった細胞を内側から新しく生まれ変わらせる仕組みです。
生物は、栄養摂取(同化)と飢餓(異化)を交互に経験しながら進化してきました。すなわち、栄養摂取ができる時期には、「成長モード」に入り、飢餓状態の時には、「リサイクルモード」になり生命活動を維持しています。
この切り替えをするのが、血液細胞を除くほぼすべての細胞内にあるmTOR(mechanistic target of rapamycin たんぱく質複合体)と呼ばれるスイッチです。mTORが活性化すると「細胞成長モード」に入り、タンパク質の生成、エネルギーの蓄積、細胞の形成が促進されます。一方、mTORが抑制されると「自己浄化モード」であるオートファジーが作動し、脂肪を燃焼させるだけでなく、細胞内に生じた有毒物質やがん細胞を除去し、使えるアミノ酸を再利用します。
そして実際、mTORを抑制してオートファジーを発現させた生物の寿命が伸びることが様々な動物実験で証明されています。
400万年前から1万2千年前に農耕革命が始まるまでの長い間、人類の祖先は、サバンナで狩猟生活をしていました。この間、糖質の少ない植物の種、草、茎と種や動物の骨髄に含まれる脂質を主食とし、季節により、果物、穀物、はちみつなどの糖質を少量食べていました。また肉は捕れた時のみ食べていたと考えられています。このことは、我々の祖先も他の生物と同様、同化と異化を繰り返して進化したことを示します。
しかし、農耕革命後は、大量の糖質(穀物)とタンパク質(肉と乳製品)を摂取するようになりました。さらに近年は精製された砂糖と小麦・米を大量に摂取できるようになり、飢餓がなくなり、細胞が絶えず成長モードにおかれるようになっています。この変化に我々の体は対応できず、糖尿病、がん、心血管系疾患、認知症といった文明病に罹患し寿命を縮める原因になっています。
では、我々の食生活はどこに気をつけたらよいのでしょうか。
高GI食(米、パンなどの糖質)を減らすと、血糖値が低下し、AGE(最終糖化産物)と呼ばれる異常なタンパク質が減り、mTORの抑制につながります。この時、脂肪が分解されケトン体がつくられ、脳機能も改善されます。
動物性たんぱく質や乳製品を減らすと、IGF-1値(インスリン様物質)が低下し、mTORが抑制されてオートファジーが起こりやすくなります。
さらに炎症誘発性食物を避け、抗炎症作物を食べる(例えばサラダ油のようなω6脂肪酸ではなく青魚の油に含まれるω3脂肪酸をとる)ことも有効です。
オートファジーを最も効率よく発現させるポイントは、1年のうち8か月は異化(飢餓)、4か月を同化(栄養摂取)の期間になるようにすることだそうです。しかし、現代社会で実行するには覚悟がいりますし、いつもギリギリの状態で過ごすことが本当によいことなのか現代人で検証はできていませんし個人により意見が分かれるところだと思います。
一日のうち連続16時間の絶食(残りの8時間の間に食事を摂る)というダイエットもオートファジーを活性化させる食事法の一つです。これだと朝食を抜いて昼食と夕食を食べることで実行できるので比較的取り組みやすいかもしれません。
低カロリー、低蛋白、頻回の断食(空腹時間を作る)がオートファジーの発現には有効であることを知り、精製した糖質を避ける、野菜をたくさん食べる、穀物や動物性たんぱく質を減らし、体に良い脂質を摂ることを心掛ければよいと思います。そして自然の摂理に従い、季節に応じた食生活を送ることが重要です。
現代医学の発展により、「人生100歳時代」が現実になってきました。ただ、生物学的寿命と自分のことは自分でできる健康寿命との間に10歳程度の開きがあることが問題になっています。
最近研究によると、健康長寿に生活習慣が関与する割合は90%以上と言われます。すなわち、寿命は遺伝子によって決まっているのではなく、生活習慣により健康や病気に関する遺伝子発現をオンにしたりオフにしたりすることで細胞の性質を変えることができることを意味します(エピジェネティクスと呼ばれます)。これは110歳以上生きるスーパーセンテナリアン遺伝子を持っていない大多数の人が、生活習慣に気を付けることにより元気で100歳を迎えることができることを意味します。
この「エピジェネティクス」と「オートファジー」の力を上手に引き出すことが、健康長寿の近道です。
参考文献:ジェームズ・W・クレメント『SWITCH』日経BP
青木厚『空腹こそ最強のクスリ』
めまいに負けないために
朝ベッドから起き上がった瞬間にぐらっと目が回った、雲の上を歩いているようなふわふわした感じ、激しいめまいと嘔気が続き起き上がれなくなったなど「めまい」にもいろいろな種類があります。今回は「めまい」を取り上げます。
体がバランスをとって、立ったり座ったり歩いたりするには、「平衡機能」が必要です。平衡機能は、視覚(目)、前庭器(耳)、深部感覚刺激(足の裏)から集まる情報を小脳で集約し、それを全身の中枢である大脳が統括することにより保たれています。そして、これらのどこかが障害されることにより平衡機能が上手く働かなくなった時に「めまい」が生じます。
「めまい」を症状別に分類すると、
① 回転性めまい(視界がグルグル回る) 三半規管の障害がほとんど
② 浮動性めまい(体がフワフワする) 回転性めまいの慢性期、加齢、耳石器の異常
③ 動揺性めまい(体が揺れている気がする) 加齢、三半規管の機能低下、小脳の障害
④ 立ちくらみ(立ち上がった時にフラーッとする) 耳や脳の異常のほか自律神経失調症、貧血、睡眠不足、疲労などが原因
に分けられます。
さらに、中枢性(脳)めまいと末梢性(内耳)めまいに分類することもあります。
かつては、めまいといえば、メニエール病が有名でしたが、実際はその頻度は多くありません。原因は、内耳の内リンパ液の過剰で、激しい回転性のめまいとともに耳鳴り、難聴をきたします。
最近よく耳にするめまいとしては、良性発作性頭位めまいがあります。これは内耳の耳石器にある耳石が剥がれて三半規管内を浮遊することにより起こるめまいです。頭の位置を変えたときに数十秒から数分で改善することが多く、嘔吐をともなうこともあります。この病気は、浮遊耳石置換法が効果を発揮します。
またこの病気とよく間違われるものとして、脳血流低下による中枢性発作性頭位めまいも知られています。これは高齢者に多い動脈硬化やストレートネックや後彎など頸椎の異常により脳への血管が細くなるあるいは圧迫されて生じます。具体的には、脳幹の前庭神経核や小脳下部の前庭小脳の血流障害により、内耳の障害と同様の回転性あるいは非回転性めまいが起こります。
その他、内耳の炎症による前庭神経炎、片頭痛に伴うめまい、椎骨脳底動脈循環不全、脱水、低血糖、高血糖、貧血などめまいを来す疾患は多岐にわたります。
さて、「めまい」はどのように回復していくのでしょう。一般的には、平衡感覚の左右アンバランスがめまいの原因であるため、内耳の異常が改善されるあるいは視覚や深部感覚の情報を活用してアンバランスが代償されるとめまいは終息します。言い換えると、片側の前庭器(三半規管、耳石器)の機能低下が改善されるか、目と足の裏の情報を活用して耳の機能低下を小脳でカバーする(中枢代償)ことにより回復してきます。
めまいの診断・検査は、問診、フレンツェル眼鏡・赤外線CCDカメラによる眼振の検査、頭頸部画像検査によりおこなわれます。特に高齢者であれば、頸椎X線検査による頸椎の異常の有無、頭部MRI&MRAによる脳の血流の評価が重要です。ただし、血行不良のような軽度の異常は現在のMR装置では検出困難です。
めまいの治療には、主に血流改善目的で抗めまい薬(メリスロン、セファドール、カルナクリン、セロクラール、ケタスなど)、代謝改善薬(アデホス)、筋弛緩作用のある肩こり薬(テルネリン、ミオナール)、酔い止め(トラベルミン)、漢方薬(苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯、五苓散など)、抗ヘルペス薬、ビタミンDの内服薬が用いられます。その他、首・肩こりのツボ(風池、天柱、肩井)に対する鍼・灸、低周波・遠赤外線・赤外線などの物理療法、理学療法として浮遊耳石置換法やめまいのリハビリも有効です。
めまいの予防として、①生活習慣の改善(高血圧、糖尿病、脂質異常症、内臓肥満、喫煙など)②姿勢の改善(うつむき姿勢を避ける、肩・首のこりを放置しない)③過労・ストレスを避ける、などがあります。
めまいは、耳(内耳)の異常だけでなく、脳や頸椎など様々な部位の異常が原因で生じます。すなわち、めまいは耳鼻咽喉科、内科、神経内科、脳神経外科、整形外科など専門の異なる領域にまたがる疾患で、時に診断・治療に難渋し、「めまい難民」になる可能性もあります。「たかがめまい、されどめまい」です。私も、かかりつけ医として、適切なアドバイスができるようさらに勉強したいと思います。
参考文献:新井基洋『めまいは自分で治せる』マキノ出版
中山杜人『なかなか治らないめまいが治る』さくら舎
体がバランスをとって、立ったり座ったり歩いたりするには、「平衡機能」が必要です。平衡機能は、視覚(目)、前庭器(耳)、深部感覚刺激(足の裏)から集まる情報を小脳で集約し、それを全身の中枢である大脳が統括することにより保たれています。そして、これらのどこかが障害されることにより平衡機能が上手く働かなくなった時に「めまい」が生じます。
「めまい」を症状別に分類すると、
① 回転性めまい(視界がグルグル回る) 三半規管の障害がほとんど
② 浮動性めまい(体がフワフワする) 回転性めまいの慢性期、加齢、耳石器の異常
③ 動揺性めまい(体が揺れている気がする) 加齢、三半規管の機能低下、小脳の障害
④ 立ちくらみ(立ち上がった時にフラーッとする) 耳や脳の異常のほか自律神経失調症、貧血、睡眠不足、疲労などが原因
に分けられます。
さらに、中枢性(脳)めまいと末梢性(内耳)めまいに分類することもあります。
かつては、めまいといえば、メニエール病が有名でしたが、実際はその頻度は多くありません。原因は、内耳の内リンパ液の過剰で、激しい回転性のめまいとともに耳鳴り、難聴をきたします。
最近よく耳にするめまいとしては、良性発作性頭位めまいがあります。これは内耳の耳石器にある耳石が剥がれて三半規管内を浮遊することにより起こるめまいです。頭の位置を変えたときに数十秒から数分で改善することが多く、嘔吐をともなうこともあります。この病気は、浮遊耳石置換法が効果を発揮します。
またこの病気とよく間違われるものとして、脳血流低下による中枢性発作性頭位めまいも知られています。これは高齢者に多い動脈硬化やストレートネックや後彎など頸椎の異常により脳への血管が細くなるあるいは圧迫されて生じます。具体的には、脳幹の前庭神経核や小脳下部の前庭小脳の血流障害により、内耳の障害と同様の回転性あるいは非回転性めまいが起こります。
その他、内耳の炎症による前庭神経炎、片頭痛に伴うめまい、椎骨脳底動脈循環不全、脱水、低血糖、高血糖、貧血などめまいを来す疾患は多岐にわたります。
さて、「めまい」はどのように回復していくのでしょう。一般的には、平衡感覚の左右アンバランスがめまいの原因であるため、内耳の異常が改善されるあるいは視覚や深部感覚の情報を活用してアンバランスが代償されるとめまいは終息します。言い換えると、片側の前庭器(三半規管、耳石器)の機能低下が改善されるか、目と足の裏の情報を活用して耳の機能低下を小脳でカバーする(中枢代償)ことにより回復してきます。
めまいの診断・検査は、問診、フレンツェル眼鏡・赤外線CCDカメラによる眼振の検査、頭頸部画像検査によりおこなわれます。特に高齢者であれば、頸椎X線検査による頸椎の異常の有無、頭部MRI&MRAによる脳の血流の評価が重要です。ただし、血行不良のような軽度の異常は現在のMR装置では検出困難です。
めまいの治療には、主に血流改善目的で抗めまい薬(メリスロン、セファドール、カルナクリン、セロクラール、ケタスなど)、代謝改善薬(アデホス)、筋弛緩作用のある肩こり薬(テルネリン、ミオナール)、酔い止め(トラベルミン)、漢方薬(苓桂朮甘湯、半夏白朮天麻湯、五苓散など)、抗ヘルペス薬、ビタミンDの内服薬が用いられます。その他、首・肩こりのツボ(風池、天柱、肩井)に対する鍼・灸、低周波・遠赤外線・赤外線などの物理療法、理学療法として浮遊耳石置換法やめまいのリハビリも有効です。
めまいの予防として、①生活習慣の改善(高血圧、糖尿病、脂質異常症、内臓肥満、喫煙など)②姿勢の改善(うつむき姿勢を避ける、肩・首のこりを放置しない)③過労・ストレスを避ける、などがあります。
めまいは、耳(内耳)の異常だけでなく、脳や頸椎など様々な部位の異常が原因で生じます。すなわち、めまいは耳鼻咽喉科、内科、神経内科、脳神経外科、整形外科など専門の異なる領域にまたがる疾患で、時に診断・治療に難渋し、「めまい難民」になる可能性もあります。「たかがめまい、されどめまい」です。私も、かかりつけ医として、適切なアドバイスができるようさらに勉強したいと思います。
参考文献:新井基洋『めまいは自分で治せる』マキノ出版
中山杜人『なかなか治らないめまいが治る』さくら舎
食物アレルギーとは
「メロンを食べると口の中がイガイガする」、「エビを食べると蕁麻疹がでる」、など食べると調子の悪くなる食材がある人は結構おられると思います。今回は、成人の食物アレルギーに関する話題です。
医学的な食物アレルギーの定義は、「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が引き起こされる現象」です。一般には、ある食材を食べた後に起こるかゆみ、膨疹、腹痛、下痢を「アレルギー」と呼ぶことが多いですが、その機序が明らかではない場合は、「過敏反応」、「過敏症状」あるいは「食物不耐症」と呼ぶのが正式です。
さらに、食物アレルギーは、IgE抗体依存性と非IgE抗体依存性に分かれます。IgE依存性食物アレルギーは、血液検査や皮膚検査で抗原特異的IgE抗体が証明されたもので、①潜在的にアナフィラキシーショックのリスクがある、②アレルゲン蛋白質の交差抗原性から食物交差反応が予測できる、③抗アレルギー薬などで誘発症状に対処できる、などの特徴があります。一方、IgE抗体が証明されていないにも関わらず、特定の食物に対して過敏反応を有している場合(例えば牛乳不耐症、セリアック病、ヒスタミン中毒など)を非IgE依存性食物過敏反応と判断します。
食物アレルギーの原因食物は、小児では、鶏卵、牛乳、小麦が多いですが、成人では、ピーナッツ、魚卵、甲殻類、野菜・果物などが増えてきます。主に食物摂取後2時間以内に発症することが多いですが、まれに4時間以上経過して発症(納豆、アニサキス、マダニ関連の獣肉)することや摂取後運動すると発症する場合(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)や鎮痛薬(NSAIDS)を内服した時に発症する場合もあります。
また口腔や咽頭の粘膜に限局した口腔アレルギー症候群もあります。これは食物アレルゲンが、消化酵素で容易にアレルゲン性を失い、胃や腸からアレルゲンが吸収されても即時型アレルギー症状を惹起しないためです。
IgE依存性食物アレルギーの発症メカニズムとして、①アレルゲンが皮膚・気道・粘膜を介して体内に侵入し、免疫細胞がIgE抗体を産生し、これがマスト細胞表面に結合する(感作相)、②感作された体内に、再びアレルゲンが侵入した時に、マスト細胞上のIgE抗体に結合し、マスト細胞が活性化され、ヒスタミンやロイコトリエンといったケミカルメディエーターが放出され、全身の血管や臓器に作用しアレルギー反応が起こる(惹起相)、の二段階があります。
診断は、血液中の特異的IgE抗体価検査や皮膚テスト(通常はプリックテスト)が用いられますが、血液検査では、偽陽性、偽陰性が少なくありません。またプリックテストの感度も100%ではありません。また結果は、本人の体調、季節、使用する抗原によって変動するため、疑わしい場合は繰り返し検査することもあります。
最近では、アレルゲンの中の特異性の高いアレルゲン蛋白質(特異的アレルギーコンポーネント)に対するIgE抗体を直接検査できるようにもなっています。尚、食物に対するIgG抗体検査の臨床的意義は現在のところ不明です。
花粉アレルギーの原因アレルゲンと類似したアレルゲンが果物・野菜の中にも存在するため、交差反応するようになり、成人では、花粉アレルギーや果物アレルギーの患者さんが多くなります(花粉―食物アレルギー症候群)。
・スギ・ヒノキ:バラ科果物・柑橘系【アレルゲンはGRP】。
・カバノキ科:バラ科果物(リンゴ、サクランボ、モモ、ナシ、イチゴ、
プラム)マメ科(大豆、ピーナッツ)、セリ科(人参、セロリ)【PR-10】。
・イネ科、ブタクサ、ヨモギ:ウリ科(メロン、スイカ、キュウリ)、トマト、
オレンジ、バナナ、アボカド【プロフィリン】。
成人小麦アレルギーとして、①乳幼児期発症の持ち越し、②ω-5グリアジン優位型小麦アレルギー(小麦摂取2~4時間以内に運動した場合に全身性膨疹をきたす)、③加水分解小麦による即時型小麦アレルギー((旧)茶のしずく石鹸に含まれていたグルパール19Sという加水分解小麦の経皮、経粘膜的感作による)などが知られています。
その他、成人で比較的頻度が多いのは、各種スパイス、ラテックスアレルゲン蛋白質に感作されている人がバナナ、クリ、アボカド、キウイなどを食べてアレルギー症状を発症する(ラテックスーフルーツ症候群)、魚類摂取後の過敏症状(魚アレルギー、アニサキスアレルギー、ヒスタミンによる食中毒)、化粧品、ナッツ、納豆(クラゲ刺傷歴のあるサーファーに多い)などが知られています。
原因となる食物や発症様式がわかっている場合は、原則避けることが肝要です。ただ多くの野菜・果物でアレルギー症状の出る人は、ビタミン不足の懸念もありサプリで栄養補給する場合もあります。また、食物アレルギーの患者さんは、NSAIDS、ACE阻害薬、β遮断薬、胃酸分泌抑制剤などの薬物内服には注意が必要です。
参考文献:福冨友馬『成人食物アレルギーQ&A』日本医事新報社
医学的な食物アレルギーの定義は、「食物によって引き起こされる抗原特異的な免疫学的機序を介して生体にとって不利益な症状が引き起こされる現象」です。一般には、ある食材を食べた後に起こるかゆみ、膨疹、腹痛、下痢を「アレルギー」と呼ぶことが多いですが、その機序が明らかではない場合は、「過敏反応」、「過敏症状」あるいは「食物不耐症」と呼ぶのが正式です。
さらに、食物アレルギーは、IgE抗体依存性と非IgE抗体依存性に分かれます。IgE依存性食物アレルギーは、血液検査や皮膚検査で抗原特異的IgE抗体が証明されたもので、①潜在的にアナフィラキシーショックのリスクがある、②アレルゲン蛋白質の交差抗原性から食物交差反応が予測できる、③抗アレルギー薬などで誘発症状に対処できる、などの特徴があります。一方、IgE抗体が証明されていないにも関わらず、特定の食物に対して過敏反応を有している場合(例えば牛乳不耐症、セリアック病、ヒスタミン中毒など)を非IgE依存性食物過敏反応と判断します。
食物アレルギーの原因食物は、小児では、鶏卵、牛乳、小麦が多いですが、成人では、ピーナッツ、魚卵、甲殻類、野菜・果物などが増えてきます。主に食物摂取後2時間以内に発症することが多いですが、まれに4時間以上経過して発症(納豆、アニサキス、マダニ関連の獣肉)することや摂取後運動すると発症する場合(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)や鎮痛薬(NSAIDS)を内服した時に発症する場合もあります。
また口腔や咽頭の粘膜に限局した口腔アレルギー症候群もあります。これは食物アレルゲンが、消化酵素で容易にアレルゲン性を失い、胃や腸からアレルゲンが吸収されても即時型アレルギー症状を惹起しないためです。
IgE依存性食物アレルギーの発症メカニズムとして、①アレルゲンが皮膚・気道・粘膜を介して体内に侵入し、免疫細胞がIgE抗体を産生し、これがマスト細胞表面に結合する(感作相)、②感作された体内に、再びアレルゲンが侵入した時に、マスト細胞上のIgE抗体に結合し、マスト細胞が活性化され、ヒスタミンやロイコトリエンといったケミカルメディエーターが放出され、全身の血管や臓器に作用しアレルギー反応が起こる(惹起相)、の二段階があります。
診断は、血液中の特異的IgE抗体価検査や皮膚テスト(通常はプリックテスト)が用いられますが、血液検査では、偽陽性、偽陰性が少なくありません。またプリックテストの感度も100%ではありません。また結果は、本人の体調、季節、使用する抗原によって変動するため、疑わしい場合は繰り返し検査することもあります。
最近では、アレルゲンの中の特異性の高いアレルゲン蛋白質(特異的アレルギーコンポーネント)に対するIgE抗体を直接検査できるようにもなっています。尚、食物に対するIgG抗体検査の臨床的意義は現在のところ不明です。
花粉アレルギーの原因アレルゲンと類似したアレルゲンが果物・野菜の中にも存在するため、交差反応するようになり、成人では、花粉アレルギーや果物アレルギーの患者さんが多くなります(花粉―食物アレルギー症候群)。
・スギ・ヒノキ:バラ科果物・柑橘系【アレルゲンはGRP】。
・カバノキ科:バラ科果物(リンゴ、サクランボ、モモ、ナシ、イチゴ、
プラム)マメ科(大豆、ピーナッツ)、セリ科(人参、セロリ)【PR-10】。
・イネ科、ブタクサ、ヨモギ:ウリ科(メロン、スイカ、キュウリ)、トマト、
オレンジ、バナナ、アボカド【プロフィリン】。
成人小麦アレルギーとして、①乳幼児期発症の持ち越し、②ω-5グリアジン優位型小麦アレルギー(小麦摂取2~4時間以内に運動した場合に全身性膨疹をきたす)、③加水分解小麦による即時型小麦アレルギー((旧)茶のしずく石鹸に含まれていたグルパール19Sという加水分解小麦の経皮、経粘膜的感作による)などが知られています。
その他、成人で比較的頻度が多いのは、各種スパイス、ラテックスアレルゲン蛋白質に感作されている人がバナナ、クリ、アボカド、キウイなどを食べてアレルギー症状を発症する(ラテックスーフルーツ症候群)、魚類摂取後の過敏症状(魚アレルギー、アニサキスアレルギー、ヒスタミンによる食中毒)、化粧品、ナッツ、納豆(クラゲ刺傷歴のあるサーファーに多い)などが知られています。
原因となる食物や発症様式がわかっている場合は、原則避けることが肝要です。ただ多くの野菜・果物でアレルギー症状の出る人は、ビタミン不足の懸念もありサプリで栄養補給する場合もあります。また、食物アレルギーの患者さんは、NSAIDS、ACE阻害薬、β遮断薬、胃酸分泌抑制剤などの薬物内服には注意が必要です。
参考文献:福冨友馬『成人食物アレルギーQ&A』日本医事新報社